施工場所/富山県黒部市
設計/キーアーキテクツ株式会社
施工/株式会社カネタ建設
施主/YKK不動産
竣工/2015年11月
造作家具および造作キッチン
- 玄関ホール/玄関収納
W3450×D447×H2055 - 洗面脱衣室/洗面台+鏡付き収納棚
W1173×D600×H850 + W832×D180×H680(変則型) - キッチン/調理台
W2249×D700・490×H850・600 - キッチン/食器棚
W1663×D500・450×H850・740 - キッチン/食料庫棚
W420×D680×H1845 - キッチン/アイランドキッチン
W3848×D1000×H839 - リビング/テレビ台
W3483×D350×H1690 - 1Fホール/ランドリーBOX
W510×D630×H860(変則型) - 主寝室/ニッチ収納
W3495×D230×H800
パッシブ=受動的
「パッシブハウス」という言葉を聞かれたことはありますか?
パッシブハウスは、環境先進国ドイツの物理学者ファイスト博士が発案し、1991年にパッシブハウス研究所(略称はPHI)で確立された家の省エネ基準です。
パッシブハウスは屋根・壁・床の断熱性や気密性を高め、高性能な窓と、熱ロスの少ない換気システムを取り入れて、まるで魔法瓶のように、徹底的に熱を逃がさない工夫をしています。
冷暖房に大きく頼らずとも室内の温度や湿度は一定に保たれ、寒さや暑さを我慢しない、快適さを生み出す家になります。
パッシブとは受動的であること。
自然の力を最大限利用し、少ないエネルギーで、快適な暮らしを続けることは、地球のために、住む人のために、持続可能な家といえるでしょう。
前沢パッシブハウスは、一般社団法人パッシブハウス・ジャパン代表理事であり、キーアーキテクツ株式会社の代表を務める、建築家の森みわさんによる設計です。
森さんとわたしたちは同世代なのですが、打ち合わせ中も、パッシブハウスに対する強い信念と情熱がひしひしと伝わってきて、とても刺激を受けた現場でした。
製作した家具ですが、杉のフリー板やタモ巾はぎ材、ウォルナット無垢材など、木材をふんだんに使用しています。
白い扉の家具たちは、ポリランバーを下地に白の全ツヤ塗装で仕上げています。
調理側はメンテナンスのしやすい全ツヤ仕上げ、リビング側は南側の大開口からのぞむ緑に続くアルダー仕上げと、仕上げを変えたアイランドキッチン。
全ツヤ塗装のパネル扉のなかにウォルナット無垢材で縁取られた飾り棚が、空間に奥行を生み出す玄関収納。
異素材のコンビネーションが効いた家具たち。
ゆるやかにつながるリビングとダイニングキッチンを橋渡しするように長く伸びたアイランドキッチン。
タモ天板部とシンク一体型のステンレス天板部にはわずかな段差があり、仮に水をこぼしても、木部側にまで広がる心配はありません。
椅子を並べて、相向かいで座ることが可能なので、そのまま食事を取ったり、夕飯の支度をするそばで子供が宿題をしたりということも可能です。
パッシブハウスの恩恵を存分に受けながら、単に高性能なエコ住宅という概念よりも、ナチュラルとモダンが融合した意匠に目がゆき、自然と先進技術が溶け合った、素敵なお家です。
こちらは、キーアーキテクツHP-PROJECTにも詳しく紹介されていますので、特にパッシブハウスにご興味のある方はぜひ。
わたしたちは偶然と偶然が重なってご縁があり、家具工事に携わらせていただきました。
そして、このご縁が次なるご縁へとつながってゆきます。
ひととのご縁をみずからたぐり寄せる、そういうやり方もあるのでしょうが、本当によいご縁というのは、やるべきことをきちんとやっていれば、向こうから自然とやってくる、そんな気もします。